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【interview】安原兵衛④「ここ最近やっているアーティストの方々は時代感を求めて僕に頼んでくる方が多いように、そこは裏切らないようにと僕も感性を若作りしています(笑)。」

はじめに

「音楽で生きていく。」インタビュー、安原兵衛の第4回目(全5回中)。

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音楽で生きていく。

安原兵衛 第4回目

――安原さんの強みや魅力は、依頼されたアーティストのカラーをより際立たせて引き出すのはもちろん、その上で新しい魅力を描き加えてゆくところにあるなとも感じています。いわゆる、アーティストの魅力の引き出し方が上手いことから、さまざまなオファーを得ていくのかなといいますか…。

安原 冷静に分析した場合、そういう面もあるかと思います。ただ、年々歳を重ねていくと、いろんなことをアドバイスをしてくれる人がいなくなるんですよ。

30代頃まではクライアントの人たちが自分よりも年上だから、自分の出したアイデアに対して「これはこっちのほうがいいよ」などいろいろアドバイスをくれました。だけど40歳を超えると現場の人たちが年下になり、年上の人に言いづらい雰囲気を感じてしまうのか、こちら側はフラットな気持ちでいても、自分の意見をぶつけてくる人たちがいなくなる。

でもそうですよね。自分が発注する立場になったとしたら自分よりも年下のクリエイターと仕事したほうが気を使わなくてやりやすいですよね。なので年齢など気にせずいろんな意見やアドバイスをしてくれる年下の人と一緒に仕事をすると嬉しくなりますね。

――そこは難しいところですよね。そういう環境も踏まえつつ、音楽業界で長く仕事を続けてゆくうえでは、「自分でどう気づきを得てゆくか」がとても大切になっていくのでしょうか?

安原 それはあると思います。とくに今の時代は「自分のプラス面もマイナス面もみずから気づいたうえで、そこを自分で伸ばしたり修復してゆくセルフプロデュース力がないとダメだよ」という時代になって来ているなと思います。

――どの分野も、そう。音楽の世界で長くやっていくうえでは、自己プロデュース力が長けていないとなかなか難しいんでしょうね。

安原 そうだと思います。音楽は芸術であり、表現分野でもあるように、アーティストの場合はとくに「これはこうだよ」というまわりの意見にすごく反発する気持ちを持ってしまうのもわかるんです。僕の中にも、その気持ちがまったくないか??と言ったら嘘になります。その気持ちもあったうえで、自分以外の人たちの言葉をどう受け止めるか。

そこで言われた発言について「なるほど、そういう意見もあるよね」という人もいれば、「これはこうだから違うよ」と人の意見を突き返す人もいるように、いろいろではあるんですけど。伸びる人や長くやっている方ほど、柔軟な姿勢を持った人たちが多いなとは感じます。

――アーティストの方の場合、なかなか主張を曲げれない方もいますが、相手に合わせる柔軟性はやはり必要なこと。

安原 柔軟性はあったほうが良いと思います。それは、僕ら作家にも言えること。むしろ作曲や編曲の場合、何時だって「時代の風」を求められますからね。ここ最近やっているアーティストの方々は、とくに時代感を求めて僕に頼んでくる方が多いように、そこは裏切らないようにと、僕も感性を若作りしています(笑)。

今の音楽業界自体のトレンドになっていることですけど、コライト文化(Co-Write/共作)というのが最近何かと話題として出ています。

――安原さんは作曲からレコーディング、ミックス、マスタリングまで全部一人で行える強みを持っている方。オールマイティに対応出来ることは、他の方との差別化という面でも、やはり強みになることでしょうか?

安原 それはあると思います。まだスタジオレコーディングが常識だった頃、自宅にレコーディング環境を作りあげ、いわゆる自宅録音を世の中に先駆けて行ったのと同じようにと言いますか…。

今や、自宅で全部レコーディングを行うのが当たり前になった環境の中、何処で差別化を出すかと言ったらマスタリングまでレコーディングに於ける全工程を一人で手がけていけること。

――そこでも、人より先駆けた動きを仕掛けてゆくところが安原さんらしさなんでしょうね。

安原 そうは言っても、最近では僕と同じようにマスタリングまで自宅で手掛ける人が増えています。ならば、何処に自分の新たな強みを持たせるか。

そう思ったときに出てきたのが、仕事を依頼されるアーティストたちの音源を作るだけではなく、その音源をCD盤として流通すれば、音楽配信などまで面倒を見てあげることかなと思い、今はそこも手掛けながら、より整備された環境作りを行っています。後々には、自分でMVまで撮影や編集まで行い仕上げるところまでやりたいなとも考えているように、そこまでの環境を描き出そうと準備もしています。



――これからの時代は、音楽にまつわるすべてをマルチで対応していくことが大切になっていくのでしょうか?

安原 なんでもかんでもマルチでやることがすごくいいことか…というと、またちょっと違うとは思います。大事なのは、その作品をどれだけ客観的に捉え、必要な要素を組み上げてゆくか。

その楽曲のミックスに関しては、自分よりも他の人に任せたほうがより映えるのであれば、その選択をすべきなように、自分が自分がではなく、その作品に対して一番ベストな環境を整え完成させることが大切だと自分では捉えています。

――なるほど。自分の強みを生かしたうえで、誰と手を組み広げるか…。

安原 そうですね。これは今の音楽業界全体のトレンドにもなり始めていることですけど、コライト文化(Co-Write/共作)というのが最近何かと話題として出ています。要は、一人でやるには(表現の幅も)限界だから、誰かと手を組み、そこで化学変化を起こして新しいものを産んでいこうという文化。

ポップス一つを取っても、長年に渡り作り尽くされてきたからこそ、あえて誰かと一緒にやることで予想もつかなかった化学変化を起こし、偶発的に新しい音楽を生み出そう。そういう動きが、最近は海外のみならず日本でも増え始めているように、僕自身もそういう文化に踏み出してみようとも考えています。

――一人でやっていると、どうしてもみずから敷いたフォーマットへ陥ってしまいますからね。

安原 そうなんですよ。だから若い人とも一緒にコラボして作っていくとか、そういうのをやっていかないとなぁと思っています。

営業をするなら、それは呑みに行くことのようなスタイルは、今は通用しない。

――安原さんの場合、若い人からも仕事の依頼を受けてやっていますよね。

安原 そこが、取材テーマである「音楽で生きていく」にも繋がることですけど。「誰かの依頼を受けて仕事をする」というビジネスだけではこれからは厳しくなっていくし、実際に今、そうなり出しているんですね。

じゃあ何が必要かというと、「自分で素材(アーティストなど)を探し、コンテンツ(楽曲など)を作り、みずから発信するなり、企業と共同で仕掛けてゆく動きが大切になっていく」ことだと僕は思っています。

――待ってるのではなく、自分から攻めてゆく形だ。

安原 そうです。これも音楽業界あるある話ですが、音楽業界の人たち、中でも表現者であるアーティストやミュージシャンは昔からの風習で、自分で営業をしない。もし営業をするなら、それは呑みに行くことだみたいな。昔はそれで通用する面があったかも知れませんが、今はそういうスタイルはなかなか通用しない気がします。

今は、そんな時代ではないですからね。もちろん、人とコミュニケーションをしてゆくことは大事なように、その一つが呑みの場であっても良いのかなというのもわかったうえでの言葉ではありますけど。

――呑みの場は、営業ではなく、あくまでも知り合った人との交遊を深めるためですからね。

安原 そうだと思います。SNSなどの便利がなツールがある中、もっと効率的な手段がたくさんあると思います。

>>第5回へつづく

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KONDOKAORU.JP編集部
KONDOKAORU.JP編集部とは、音楽家 近藤薫の活動、また音楽業界の動きをを様々な角度から発信していく編集チーム。

【編集長 近藤薫プロフィール】1999年ポリドール(現ユニバーサルミュージック)より、メジャーデビュー。2002年バンド解散後ソロとして活動を始める。【主なソロ作品】「ハロー&グッバイ」「風に乗っかって」(「テニスの王子様」ED曲など関連作品)【楽曲提供】V6/AKB48/東方神起/テゴマス/Juice=Juice/℃-ute/アンジュルム/下野紘/DEEN/柏木由紀/マオfromSID/鈴村健一/松井恵理子/dela/太田克樹/ROSARIO+CROSS/dela/出口陽 など。