はじめに
ボーカリストが極めたい技術のひとつに、「音程(ピッチ)」の正確さ、というのがある。
みたいな事ってよくある。
そんな中、テクノロジーの進化によって、録音したボーカルの音程を修正する事は容易に出来るようになった。また、その修正を施すことに対して、シンガー達も、一昔前に比べると抵抗がなくなってきた気がします。ここ10年くらいのことだろう。
僕個人としても、テクノロジーに立ち向かってもあまり意味はないし「それを利用しても最終的にオリジナリティーのある音楽を作ればいい」と思う派だ。
下手な歌をうまくすると言うより、うまい歌手の歌を時間短縮のために補正するくらいの使い方が個人的にはベストだと思うけど、クライアントも「音程外しても全然治っちゃうんですよね??」みたいなノリで現場にいらっしゃる。
「下手なシンガーも、うまいシンガーに出来る」
という、ある意味間違った認識が満映している気がする。
ライブというリアルの現場
ただ、ライブは違った。まさにリアルな歌声、メッセージがそこにはあった。
みたいなフレーズもよく聞いた。
しかし、テクノロジーの進化は防げない。
今や、リアルタイムで音程を修正出来る時代だ。
大きなライブ会場で、機材周りにも予算のかけられるライブでは、すでにリアルタイムでの音程修正も実施されている。
そんな中、もっと身近に、気軽に使用できる、リアルタイムピッチ修正ソフト、機材がリリースされている。
フロンティアファクトリーからリリースされた、「Auto-Tune Artist」もそのひとつだ。
そのうち、キャパ2,30のアコースティックのライブハウスのPA卓にも標準で、優秀な「音程修正」のエフェクト入ったりして、エンジニアさんも「リバーブ強めにかけておきますねー」といった感じと同じように、
みたいなやりとりが、増えていくんだろうなと思う。
嬉しいのか、悲しいのか。
その未来に今の所、ワクワクはしないけど、それによって「声」が素晴らしいアーティストにスポットが当たる瞬間も増えるのかもしれない。
一長一短だけど、最終的にそこに「感動」が残れば、それで良いのかもしれない。