
はじめに
よくレコーディングは打ち込みより生演奏の方がいいんですか?と聞かれるのですが、答えは「NO」です。
というのは、
- どんな音楽コンセプト?
- どんなジャンル?
- どういうサウンドイメージなのか?
- 訴えたいファン層はどの辺なのか?
生演奏のメリット、デメリット、
打ち込みサウンドのメリット、デメリットがあります。
今回は簡単に両サウンド、作業のメリット、デメリットをご紹介致します。
生演奏の場合
メリット
これは、いわゆるバンド編成(ギター、ドラム、ベース、ピアノなど)でのレコーディングスタイルだ。まさに人が演奏するという事で、ヒューマンな温度、テンション、グルーブ(ノリ)が録れる。ダイナミクスとも言うが、音の強弱など、機械が真似できないサウンドを作り出せるというのが一番のメリットです。
上記の楽器以外に、ストリングス(弦)、ブラスセクション(管楽器)など、生演奏で多重録音する事で、唯一無二のサウンドに近づける。
デメリット
録音コストがたくさんかかる。機械じゃなく人が演奏するのだから、それぞれミュージシャンへのギャラも発生するし、ドラムやストリングスを生で録るのに必要な大きなスタジオを用意する必要がある。また、経験値の高いエンジニアの人選も必要になってくるであろう。
打ち込みの場合
メリット
まず、今の時代、一言で打ち込みといっても、かなりの音楽ジャンル、サウンド感を表現できるようになっており、一概にまとめられない。
ただ、確実に生演奏スタイルより優れている点は、リズムや音程を正確に表現できるというところだ。機械が演奏するのだから、テンポにしっかり合わせる事だったり、少しだけズラす事も簡単に出来てしまう。音程も同じように、目的の音を簡単に表現できる。
なので、ダンス系のジャンルには欠かせないスタイルだ。
また、生楽器と違う、デジタル系のキーボード、シンセなどで、音を作り込む事も出来る。
あとは、何度も演奏のやり直しができるし、たとえ楽器が出来なくても、出来る人のように、表現できてしまうのも、打ち込みで音楽を作るときの大きなメリットだ。
デメリット
生演奏のメリットであげた、ヒューマン、人間味というものが出しにくいとも言える。ただ、最近では、この人間が出す曖昧な魅力も、自由に打ち込み時に設定できるようにデジタル機器は進化しており、一概にデメリットと言いにくい状況になってきている。
しかし、まだ、エレキギター、ストリングス等の弦楽器は、ちゃんとした環境下での録音時の生演奏の魅力には追いつけない、または到達するのに時間がかかると言える。
まとめ
正直、シンセサイザーやコンピューターなど、テクノロジーの進化で、生演奏でレコーディングをする必要性が少なくなってきているのは事実だ。仕事を失いかけているミュージシャンも少なくない。
しかし、そもそも音楽は楽しむものである。みんなで顔と心を合わせて作る音楽の楽しさはまた別問題だと思う。
例え商業的にコスパの良い、打ち込みサウンドで仕上げていく音楽がどんどん広まっていっても、生演奏での録音、セッションは無くならないと思う。
最後に、今の若いミュージシャン達を見てひとつ思うのは、両方のスタイルのレコーディングをちゃんと体感した上で、自分に必要な制作スタンスを選んで欲しいなぁと思う。それが一番正解だと思う。
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