IDOL acoustic vol.1が4月2日、四谷天窓.comfortにて開催された。
一般的にアイドルのLIVEといって想像されるのは、輝かしい高いステージでの元気いっぱいのダンスに、煌びやかな照明、そして観客の気持ちを高まらせる楽曲たち…というものなのだろうが、この日は違った。普段のステージとは打って変わってアコースティックなサウンドを中心に、お客さんとの距離も近いLIVEを展開する出演者たち。それもそのはず、このイベントは、この日のバックバンドも務めるサウンドプロデューサー近藤薫の、普段のステージでは見ることの出来ないアイドルたちの、また違った表情も見てもらえたら…というアイディアが発端となり、開催されたイベントであったからだ。そのため、アイドルたち1人1人の、その人となりがよくわかるような、普段とはひと味違った温かいLIVEが行われたというわけである。
・小玉ゆうい
トップバッターとして春をイメージしたピンクが鮮やかなワンピースで登場すると、明るい髪と相まって会場は華やかな雰囲気に。
半年ぶりのLIVEだから新兵器を…と言いつつ手に取ったのは、真っ赤なエレキギター。昨年、近藤薫プロデュースでリリースされた「前髪の決意」「お母さん」を、なんと自身初の弾き語りで歌った。
さらに弾き語りで続けるは、「遠く遠く」。
春という新生活の始まりや旅立ちのこの季節に、地元を離れ独り立ちし、頑張っている人ならば誰もが感じる気持ちを、北海道出身の小玉なりにこの曲へのせ、大切に歌っていた。
そして、近藤薫プロデューサー(Ag,Cho)率いるバンドチーム、HASSE(Pf)合原晋平(Dr)が呼び込まれると、最後の曲「手をたたけ」へ。
ドラムのビートにリードされ、自然と拍手が巻き起こり、曲中の歌詞にもあるように、リズムは重なり、会場は大いに盛り上がった。
・伊藤歩(from doMebaby)
疾走感のあるバンドサウンドと共に「愛のために。」でLIVEがスタート。
柔らかい輪郭ながら、芯のある歌声はアッパーなバンドサウンドにも負けず、次曲の「チェリー」では、バンドの奏でる軽快なリズムと優しい歌い方に誘われ、自然と手拍子が起こった。一緒に口ずさむお客さんと共に、あたたかな時間が流れていた。これまでの明るい2曲から一転した雰囲気の「Song for」では、紫と桃色のライトに照らされ、落ち着いた世界観に。壮大なオケにのせて愛の歌を届けた。MCでも普段はロックなアイドルユニットのため、アコースティックサウンドは貴重だと話しており、まさにイベントの趣向通りの、いつもとは違う一面が見られたようであった。
・加藤絵美里(from リーガル・アントワネット)
1曲目からエッジの効いたギターROCKサウンドと、溢れんばかりの元気を詰め込んだダンスの「LOVE SPARK」に、会場は手拍子とコールが入り乱れ、大きな盛り上りを見せる。
またROCK調から一転したバンドとの「みんな空の下」では、落ち着いたR&B調の楽曲をしっかりと歌い上げており、たっぷりとした声量で、気持ちが込められた歌声には聞き惚れた人も多いだろう。
やがて、おもむろに三味線が取り出されると、MCで沖縄出身であり、実は夏川りみさんが親戚であるという話に。それにちなみ、「涙そうそう」の弾き語りがスタートすると、客席からは、三味線上手いな〜という声があがっていたのが印象的であった。最後は、白いガ―リーな衣装にピッタリの希望に溢れた歌、「365日の紙飛行機」を多くのフリと共に、丁寧に届けていた。
・もりしょうこ(from PLC)
前ステージの加藤絵美里を(Vo)に迎え、自身はピアノの演奏を行うというコラボステージを、1曲目の「にじいろ」から早速披露。
バックバンドのアンサンブルに溶け込む自由奔放なタッチのピアノには、自身のキャラクターが出ているようで、とても軽やかであった。
その後のMCでは、現在自身が製作中のグループのオリジナル曲の1フレーズを生演奏するという貴重なシーンも。
続けての「ガールズルール」「気づいたら片想い」では、のんびりとしたMCからは打って変わり、アップテンポな楽曲を元気いっぱい歌い上げたかと思えば、ダンス付きで切ない恋心の歌も歌い上げ、表現の幅を見せるステージとなった。
極め付きは、バンドを呼び込んでの「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」。オリジナリティのある可愛いらしい歌声であっても、座っていたお客さんを立たせての、圧巻のロックンロールなステージを展開した。そうして会場には『愛と平和!!』『LOVE&PEACE!!』が響き渡ったのである。
・犬塚志乃(ex.dela)
印象的な藍に白と黄色のワンピースで登場し、「Voyage」を繊細な歌い回しでしっとりと歌い上げたかと思えば、明るいナンバーの「キラキラ」で、落ち着いた雰囲気から楽しいムードへと、見事に会場の空気感を一変させた。
それに続けるは、MCで母娘共に好きだという話もあった「LOVE LOVE LOVE」。思い入れのある大切なこの曲は、近藤の見事に支えるコーラスと共にアンサンブルしつつ、客席を見つめながら歌い上げていた。
次のMCでは、近藤薫プロデュースでソロSingleのリリースが決定したことを報告し、客席と喜びを分かち合うシーンも。そして最後の曲は、そのソロSingleより「センチメンタルな花」を生歌生演奏で、独占初公開。キャッチーなメロディーに乗せた歌声は、ファンたちの新曲への期待に見事に応え、大きな高揚感を与えていたようだ。
・アンコール
アンコールでは、出演者全員でセッションコラボを…と、最後の出演者であった犬塚が呼び込もうとすると、ステージに上がって来る残りの出演者たちの手には、なんと炎の灯った蝋燭が立つケーキが。そしておもむろにハッピーバースデーの合唱が始まる。そう、実はこの日は、犬塚の誕生日であったため、残りの出演者たちからささやかなサプライズが行われたのであった。そうしたハッピーなムードで団結した出演者たちが全員で歌うのは、この季節の名曲「春なのに」。近藤の、せっかくなら今の若いアイドルたちが知らないような過去の良曲を…という意向での選曲であり、それに応えるかのような5人の繊細なハーモニーによって、名曲は現代に蘇ったのであった。