静岡で活動を始めて、
最初にぶつかったのは
「やる場所がない」だった。
イベントをやりたい。
パフォーマンスを見せたい。
でも、その場所が少ない。
まぁ、東京より人口が少ない。
当たり前といえば当たり前だ。
だから、施設の方々と
一緒に作ってきた。
マークイズ静岡での
アルイテイコウもそうだし、
商業施設のフリースペースも
ずいぶんお借りしてきた。
フリーライブはいい。
「初めまして」の人に
いちばん届きやすい形だ。
通りすがりの人が
足を止めてくれる瞬間は、
何回見ても飽きない。
ただ、音響には目を瞑る。
これは正直なところ。
音楽家としての耳は、
毎回ちょっとだけ泣いている。
(この曲、
本当はもっと下が出るんだけどな)
だから時々は、
ちゃんとした箱でやりたくなる。
市内にも素敵な会場は
たくさんある。
お借りして企画を立てる。
そこで出てくるのが会場費。
毎回100人入るなら、
それはそれで成立する。
でも平日は、
20人、30人という日もある。
こうなると、
チケット代で会場費すら
埋められない。
運営コストは持ち出しだ。
数字だけ見れば、
やめたほうがいい。
経営者としては、
まったくその通りだと思う。
ただ、僕は
場数がすべてだと思っている。
上手くなる近道は、
練習室じゃなくて本番にある。
週末だけで、月に8回。
んー、少ない。
そんな葛藤と、
縁と、運と、勢いが絡み合って
生まれたのが
ライブハウス「Magical River」です。
いわゆる自社箱というやつ。
で、ここからが本題。
作ってみて気づいたのは、
僕が今度は
「会場費をいただく側」に
なったということだった。
カレンダーの空き日を見て、
少し胃が痛くなる日もある。
あれだけ会場費に
文句を言っていた人間が、
今は埋める側で唸っている。
因果応報だなぁと思う。
でも、平日の夜。
人もまばらなフロアで、
miuzic Entertainmentの子たちが
頑張っている。
その音を聞きながら、
あ、これだ、と思った。
僕が欲しかったのは
ライブハウスじゃなくて、
「何回でも失敗できる場所」
だったんだな、と。
いや、失敗できる場所、
というと語弊がある。
お金をいただいている以上、
失敗していい本番なんてない。
失敗を恐れずに向き合える場所。
こっちが正しい。
静岡駅の地下にある、
小さな箱です。
街の地図で見たら、
ただの点みたいなもの。
でも、そこで場数を踏んでいる
人間にとっては、
ちゃんと世界の真ん中だったりする。