
はじめに
自分自身がアーティスト活動もやりつつ、職業作家(音楽)としての立ち位置での活動が多いので、今回は「作家を職業にする」その視点からのお話です。
先日、スタジオに居合わせた若手作家くんと、ひとつの話題で盛り上がった。
職業作家を目指してるなら、生活コストの高い東京に住む必要ってない。

と談義。
僕がこの業界に入ったのが1999年。
この当時はインターネットという言葉を、チラホラ聞くようになったかな、という時期。僕がやっていたバンドはオフィシャルサイトがありましたが、その当時はオフィシャルサイトを持つアーティストはまだ珍しかった、という時代です。
もちろんYouTubeもSNSもなかった。あったかもしれないけど、誰もが手軽に使うという感じではなかったです。

この頃は音楽の仕事、エンターテインメントの仕事をするなら、東京に行かないと絶対に叶わない、と言った風潮がありました。
大阪や名古屋でも弱い、東京に行って業界内の人脈を作り、最新情報をキャッチしないと仕事にはありつけない、といった具合です。
時代は変わった。
しかし時代は大きく変わりました。
人脈はSNSで作れるし、広げられるし、Demo楽曲もその他資料も、ネットで送れる。テレビ電話や、チャット的サービスも多様だ。最近では、直接会ってまで打ち合わせる事って、ほとんどない。
打合せや、相談を、電話や、メールじゃ失礼じゃないですか?という空気すら古い。
請求書すらLINEにPDFで来る。
新人作家はどうするべきか?
これからたくさん仕事がしたいという新人作家さんは、もし今、実家暮らしや、田舎暮らしをしていて、生活そのものに不満や不安がないのであれば、その場を動かない方がいいです。
確かに仕事の発信源は東京(都会)という事が多いです。大事なのはその発信をしっかり受け取る環境を作り、発信に気づくアンテナを張っておくことです。
田舎に住みながら活動する方法
①受け取りたい発信元を決める
作家事務所や、レコード会社、プロダクションなど。ネットで調べるといろいろ出てきますね。
選ぶポイントは、自分の目指す作家さんが、どこに所属して、どう活動しているかを見ると参考になります。
そして、作家事務所等を決めたら、サイトからメールで問い合わせましょう。そして音資料や、プロフィールをまず聴いてもらえるようお願いしましょう。
まず、ここで良い反応が頂けないのに、東京にいきなり行くのは無謀です。
ひと昔前の、「その意気込み買うよ!」みたい根性論も喜ばれないわけではないが、ただ関心されるだけで、実際作品を使ってくれるわけではない。相手もお仕事なので、人情だけで進めててはくれない。
②一度だけ会いにいく

と思うかもしれませんが、ここも会わずして進める事も可能ですが、最初のご挨拶だけはしておく事が懸命でしょう。
これから大事な著作権を預けて、お互いお仕事をしていくのです。
ちゃんと信用できる人か、それぞれ見極める必要はあるでしょう。
ただ、この一回だけです。
ちなみに僕もいくつかの作家事務所様と繋がりを持ち、コンペの情報を送ってもらってますが、担当者様と最初に一度会っただけで、それから数年会ってない人は何人もいます。もちろんSNSで繋がるので、疎遠になっている感じは全くしません。
③ひたすら曲を書く
あとは、実家や、住み心地のいい場所に住み、コンペシートを受け取り、日々創作に励んでください。そして諦めずにコンペに参加し続けましょう。

まとめ
作曲家に必要なのは、発想力や知識もそうですが、それらをプレゼン出来るだけの形にする時間も必要です。
せっかくやる気満々で上京したのに、生活の為に音楽以外のバイトなどに時間をとられるのは、非常に効率が悪いと思います。
なるべく音楽以外の事をしないでも良い環境を作って、音楽、創作活動に没頭した方が近道です。
ただ、まれに例外的に、どうしても制作に入る前に打合せがしたいなどの話があって、東京に行かなくてはいけない事があったとしても、東京で一ヶ月支払う家賃より、交通費は安いはずです。
移動コストが、東京での暮らした場合の生活コストを超えるような状況になった時、はじめて東京暮らしを考えても良いのではないでしょうか。
活動拠点を決めず、ギターとMacだけ持って、世界各国を飛び回りながら生きていく「夢の印税生活」を是非、目指してくださいね。