松井恵理子 1st Album「にじようび。」全曲解説①
プロデュース
2017.1.25発売、声優として活躍中の松井恵理子(まついえりこ)さんの1st Album「にじようび。」をプロデュースさせて頂きました。
サンプルが届いた日から何度も聴いています。あまり完成した自分の作品を愛聴することはないのですが、この作品はなんか聴いちゃいますね。歌詞に目を通しながら、音を確認しながらゆっくり制作を思い返してみたりします。本当に満足いくアルバムが出来ましたよ。最近シングル曲とか、単曲のみの提供、制作が多かったからね。何と言っても、アルバムは全曲で一つのストーリーを作れる。曲にしても詞にしても、サウンドにしても。
音楽家としては燃えますよね。そういう意味でも、このアルバムは、タイトルの「にじようび。」に相応しいカラフルな作品になりました。
そして、この様々な色の楽曲達をさらに表情豊かに、虹色にしたのは、紛れもなく「松井恵理子」の声、歌唱なんですね。普段、J-POPの作品作りが多いけど、声優さんの表現力の素晴らしさを再確認したアルバムでもあります。
全曲解説①
M1「ワスレモノ」
(作詞:馬渕由妃、作曲:近藤薫、編曲:沢頭たかし)
解説
声優「松井恵理子」、アーティスト「松井恵理子」を繋ぐ一曲としては一番、スッと入ってくる楽曲かなと思う。
何がJ-POPで、何がアニソンかという定義は置いておいて、疾走感、哀愁感、重量感、メッセージ性、ストーリー性、全てにおいて良い感じのバランスになったと思っています。
馬渕由妃のシンプルだけど突き刺さる歌詞もいいですね。実はこの曲、サビの繰り返しがなく、全部歌詞が違うんです。職業作家目線でいくと、サビの歌詞が毎回変わるのって覚えにくいんじゃないかなと思ったけど、その微妙なストーリの変化が、また松井さんの歌に息吹を吹き込んでいるのかなと思いました。
アレンジも素晴らしいね。制作前はこの曲をオープニングに持ってこようという気は全然なかったんだけど、完成した時、絶対アルバムの1曲目にしたいと思いました。これだけは、本人、スタッフに反対されても説得しよう、、くらいに思っていました(笑)それくらい、この楽曲に寄せる信頼感があったのかも。
M2「G.I.R.L」
(作詞:多田慎也、作曲:多田慎也、編曲:板垣祐介)
解説
AKB48の大ヒット曲「ポニーテールとシュシュ」の作曲家としてもお馴染みの大先生「多田慎也」作のポップナンバーですね。もう、「お見事!」としか言いようがない曲だね。
今回、「松井恵理子」1st Albumの制作プロデュースのお話を頂いた時、とにかくしっかり音楽として視聴できる、良質なポップアルバムにしたいと思ったんです。正直、自分で全曲書こうかなと思ったんだけど、例え作品性は良いものに出来たとしても、いろいろ広がりは生まれない!と思ってですね、それで何人か作家さんに発注することに決めました。
それで、最初に頭に浮かんだのがこの人「多田慎也」くん!ご存知ヒットメーカーですから、お忙しくてお断りされるかな!?と思ったのですが、笑顔で快諾してくれました。
最初の打ち合わせをしたのは、確か、恵比寿の韓国料理屋でしたね(笑)
楽曲の方向性と、こんなアルバムにしたいとだけお伝えして、あとはほぼお任せでしたね。作家はあまり発注の時点で制限をしてしまうと自由度が減ってしまい、書けないということを同業者として知っていますから。出来た曲に対して少しオーダーさせてもらえればいいかなくらいに思って待っていたのですが、、完成して来たDEMOがもう素敵で(笑)ほぼ一発OKでしたね。
驚いたのが歌詞がまたいい!というのは「ポニーテールとシュシュ」のイメージがあるから、作詞は当然、秋元康大先生な訳で、作曲家としてのイメージがデカかったんです。なので歌詞を見たときはびっくりでした。言葉のハメ方、言葉のチョイス、ここで気づきましたね「あー、彼はシンガーソングライターなんだな」と。歌う人の作風だ。歌いながら気持ちいいところを感覚的に探っていかないとこうはならないから。
アレンジャーの板垣祐介さんも、いろいろなところで拝見するスペシャリスト。歌心を理解しながら、攻めるところは攻めるアレンジはさすがです。
続く。。。
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筆者:近藤薫プロフィール