
はじめに
音楽、エンターテインメント関連の仕事といえば、音源制作と、もうひとつ出てくるのが、ライブ、イベントだ。
ライブですが、いわゆるライブハウスブッキングの対バンイベントに出るときは、「チケットノルマ」が設定されていたり、「出演料」を定額で頂いたり、逆にこちらが支払ったりするのが王道パターンだ。
ただ逆に、自分たちで主催するイベントは、一体どれくらいの経費が必要で、どういう流れで開催すればいいいのだろうか?
この記事では、そんな疑問にお答えすべく、実体験をもとに解説したいと思っております。
まず、この記事を書いている、まさにこの瞬間、静岡県静岡市で、とあるアイドルイベントを企画、主催しております。
▼それがこちら

音楽イベント・ライブを開催するのに費用はどれくらいかかるのか?
一概にイベントと言っても、このような複数組のアイドルが出るイベントと、シンガーソングライターの弾き語りライブや、バンドライブなど、演奏形態でも変わってくるし、開催地域、箱(ライブハウス)の大きさ、キャパ(集客可能人数)によっても予算は大きく変わってきます。
土日祝日に開催するのか、平日なのか、セットをどれくらい凝るか、またプロモーションにどれくらい力を注ぐかにもよって変動いたしますが、そのあたりは標準的な数字でご紹介致します。
必要経費
まず必要経費をあげてみましょう。規模によって違いますが、
で考えてみたいと思います。
- 会場費(一日、希望時間のみレンタルか?)
- 機材レンタル費
- 宣伝費
- 弁当、ケータリング
- イベント保険
人件費
- 受付スタッフ
- セキリュティースタッフ
- 音響、照明技術スタッフ
- 出演者への費用
- 演奏者への費用
会場費
都内で500キャパで考えると、会場費は50〜70万程。歴史がある会場や、地域によってはもう少し高くなることもある。
機材レンタル費
機材に関しては会場費に含んでいる場合もある。ただ、音響系の機材レンタルは会場費に含んでるけど、オペレーター代は別途というところが多い。アイドル系のイベントだとカラオケをCD-R等で持ち込んだり、パソコンから2MIXで音出しすることがほとんどなので、ドラムやアンプなどの機材費はかかりませんが、生演奏系のイベントだと楽器等のレンタル代も必要になってきますね。
宣伝費
小規模なイベントの場合だと、テレビやラジオにスポットを打つような事はないだろう。ただ、フライヤー、ポスターなどのデザイン、印刷費はみておいた方がいい。
デザインの人件費は持っている知識、人脈でなんとでもなると思います。イベントの実行委員会の中に大抵そういうことが得意な人がいたりする。もしくは自分でやってしまう人もいるでしょう。
最低かかる印刷費だが、ネットで発注すれば安いところがたくさん見つかるだろう。3000枚、カラーで片面印刷であれば1万円もしない。両面印刷したり、印刷期間を翌日とか、エクスプレスで注文してしまうと割高になっていく。
こちらも印刷などせず、SNSでの拡散目的のデジタルフライヤーだけで終わらすなんて事も最近では少なくない。
弁当、ケータリング
こちらは出演者がゲストなのか、仲間なのか?によりけりだと思いますが、大抵イベントは、朝から晩までということが多い。500人規模のイベントであれば、スタッフ含めて、弁当、ケータリングを完全ゼロに抑える事は難しいでしょう。
イベント保険
保険はかけないというイベントもあるかもしれないが、何かあってからでは遅い。演者、スタッフだけでなく、お客様の事も考えると外せない項目だと思っています。
イベントの規模や、補償額によって変動するが、500人規模のライブ会場なら、2、3万でも見つかると思います。
保険会社で、無料見積もりとかとって検討してみるのが良いと思います。
人件費
会場費の他に大きくかかる経費と言えば人件費関係だ。
受付スタッフ
会場のスタッフが手伝ってくれる事もあるが、会場が大きくなればなるほど、この人員も主催側が用意しなくてはいけないケースがほとんどだ。
- 当日券の販売スタッフ 2人
- チケットもぎり 3人
- 関係者受付 2人
といったところだろうか。
セキュリティスタッフ
いわゆる警備系のスタッフだが、ステージ前、後ろ、関係者通路入り口、バックヤードなど、気にしなくてはいけない箇所は多い。特にアイドル系だとしっかり考えないといけない。
7、8人は欲しいといつも思っています。
受付、セキュリティスタッフの人件費も調整は出来ると思います。専門業者に派遣をお願いすると一人、30000円ほどかかってしまうので、知り合いで頼れるバイトの子を集めると良いでしょう。それでも一人、10,000円とか、時間が長ければもう少しかかるのでしょう。
音響、照明技術スタッフ
外部の専門業者に頼むと大きな金額になってしまうので、会場側がオプションで用意している、箱のPA、照明スタッフにお願いするのが良いでしょう。オペレーターでプラス5〜10万くらい。
ただ会場にない機材を借りると、さらなるオプション費がかかる。
例えばアイドルグループの場合、ワイヤレスマイクの本数がどうしても多くなる。10人グループとか普通にある。会場に常備してあるマイクの本数は5本前後。それ以上となると、会場に提携している機材屋(音響会社)からレンタルしてもらったりする。ただスペックの高いワイヤレスマイクはレンタル費も高い。
1本(波)5000円くらいが基準ですね。
出演者への費用
イベントの目玉アーティストをゲストでブッキングしたりすると当然、ギャラが発生する。こちらの金額はアーティストや担当者様との繋がりで変動する。

そういったゲストを呼ばず繋がりだけで出演者をブッキングする際は、チケットバック方式をとることが多い。一枚チケットを販売してくれたら500〜1000円をバック。
これにも様々なやり方があり、10人以上呼ばなければチケットバックは発生しないなど、最低ノルマが条件になっている場合も多い。
とにかくお金に関してが一番揉めるので、お誘いする際にそのあたりのルール説明は必須だ。
演奏者への費用
こちらはオケで進行するアイドルイベントの場合は、発生しないので今回のケースはなし。当然生演奏イベントの場合はここも考えないといけないが、アーティストサイドが自分の売上の中から演奏者にギャラとして支払うケースが通常だ。
まとめ
以上、非常に大まかな計算になるが、この規模のイベントをある程度のクオリティで開催するとなると、100〜150万の費用がかかる。

チケットを3,000円で販売した場合、MAX500人の集客が出来て、150万円の売上だ。
主催者側に利益はあまりない。
そこで考えるのが、
- 協賛金を集める
- イベントグッズを制作、販売する
というのを、イベント主催者はよくやっていますね。もしくは、経費を極限まで抑えるよう、なるべく外注せずに自前(自社スタッフ)で展開するか。
とにかく、イベント運営には見えない経費がたくさんかかるので、しっかりと事前準備をしてから開催をしよう!
ただ、イベント運営はとてもやりがいがあって楽しい。出演者様や、お客様の笑顔に会えるという最高の喜びもある。一度、空き時間でイベント主催をして、その魅力にハマってしまってイベンターなどの職についたり、起業する人も多い。
実際人手不足の業種なので、是非興味のある人は、イベンターのお仕事も調べてみるといいと思います。